「痩せたい」「最近メタボが気になる」などの悩みは中高年につきものです。その背景には筋肉量の減少が深く関わっています。
筋肉量減少による消費カロリーの低下が引き起こす中年太り・メタボリックシンドロームを食い止めるために筋力トレーニングが確実な有効手段であることを徹底的に解説します。
筋肉は年齢とともに減り続けるもの
人間が生涯でもっとも筋肉が多いのは20歳前後と言われています。めまぐるしく成長期の体を作る成長ホルモンの働きによって、筋肉がしっかり作られます。その人の自然な筋肉量のMAXがこの頃です。
残念ながらその後年齢とともに筋肉は徐々に減り続けることになります。
- 30~50歳:1年間に0.5~0.7%
- 50~80歳:1年間に1.0~2.0%
上記の割合で筋肉は年々減少を続けると言われています。
ただ毎日生活しているだけでこれだけ筋肉が減っていくというのは恐ろしい話です。
筋肉量の低下がメタボを生む原因
現状より太っていくか痩せていくかを決めるのは「摂取カロリーと消費カロリーのバランス」で決まります。
筋肉は、特別激しい運動をしていない時でも“待機状態”を保っています。また適切な体温を保つためにも体のエネルギーを使っています。
このように体を動かさない時でも使用するカロリー消費を「基礎代謝」といいます。かなり浸透している言葉なのでご存知の方も多いか思います。
「基礎代謝」は、人間が1日に消費するカロリーの約60%にもなると言われていますから痩せたい人にとってはそれだけ重要なカロリー消費機能です。
「基礎代謝」のうち“約20~30%もの割合を筋肉が占めている”
消費カロリーをつかさどる「基礎代謝」のうち“約20~30%もの割合を筋肉が占めている”ことがわかっています。
ですから特に食べる量やお酒が増えたわけではないのに30代になって太りやすくなった、というのは当然です。
だまっていても年齢とともに筋肉量は勝手に減少してしまいますから、それはイコール“消費カロリーも勝手に下がる”ことを意味しています。
食事による摂取カロリーが消費カロリーを上回れば、メタボの原因になる体脂肪がどんどん蓄えられていくという図式が成立してしまいます。
まさに中高年が太る原因は「筋肉量の低下」にあると言っても過言ではないわけです。
太ると運動しなくなる悪循環
年齢とともに筋肉量が減少しその影響で太ってくると、運動だけでなくちょっとした動きもしんどく感じてきます。体が重たくなった上に筋肉が減っていますから体を動かすのがつらくなってくるのも必定。
しかしこれがさらに太る悪循環を生み出す原因になります。
筋肉が減ることで動かなくなる。動かなくなれば消費カロリーは増えずさらに太る。もっと動かなくなる。
こうなると加速度的に中年太りが進行してしまいます。
運動せず痩せるために“食事を減らす”ことの落とし穴
どう考えても痩せるためには「運動するか」「食事量を減らすか」の2択になり、これ自体は間違っていません。
にも関わらず、食事量を減らしてもダイエットに成功できない中高年が多いのはなぜでしょうか?
ここに“食事制限ダイエットの落とし穴”が潜んでいます。
運動したくない場合、元々持っている「消費カロリー(筋肉・基礎代謝)」が「摂取カロリー(食事)」を上回れば理論的には体脂肪が蓄積されることはないはずです。
それどころか、消費カロリーの方が多ければ溜まっている体脂肪をエネルギーとして切り崩すことで痩せることにもつながります。
しかし実際には、エネルギーとして体に溜まった体脂肪を使う時に“筋肉も分解されてしまう”のです。
理由は筋肉が「タンパク質」で構成されているため。水分以外ほとんど「タンパク質」でできている筋肉もエネルギー源としてじゅうぶん使えるため筋肉も分解されてしまうというわけです。
こうなると食事制限だけのダイエットでは筋肉も減ってしまうためとても効率的とは言えません。
体に逆らわず痩せるなら筋肉を増やすのがベスト
痩せるためにとても重要なのは自動的にカロリー消費される「基礎代謝」です。
ご紹介したように筋肉は基礎代謝の20%~30%もの割合を占めていますから1日の消費カロリーを増やすには最適。
食事量を減らせば筋肉(基礎代謝の一部)も減ってしまいますが、筋肉を増やせば基礎代謝を上げることができます。
筋肉1kg増加で年間2.5kg痩せられる!
筋肉量が1kg増えるごとに、1日の消費カロリーは最大で“50kcal増える”と言われています。
1日50kcal × 1年365日 = 18,250kcalが年間で増える消費カロリーです。
体脂肪は1kgあたり7200kcalの計算になりますから、
18,250kcal ÷ 7200kcal = 約2.5kg
「1年間で2.5kgずつ」痩せることができます。続かないダイエットでリバウンドしたり、ぎりぎり現状維持にとどまることに比べればはるかに健康的な痩せ方です。
中年太りの防止、ひいては健康的な体づくりのために“筋肉をつける”ことは間違いなく有効な方法と言えるのです。